ABOUT

ご挨拶

人工物工学研究センター(新) ~次世代ものづくり研究教育拠点~

2019年4月1日に、次世代ものづくり研究教育拠点として、新たな人工物工学研究センターが発足いたしました。

これまでの技術の開発・普及によって、人々の生活は豊かで快適なものになりました。しかし、その反面、地球環境破壊、災害に弱い都市、発生する新しい病気、大型化する事故などなどの新たな社会的な問題も発生しました。吉川弘之先生(東京大学元総長)は、それらを「現代の邪悪」と呼び、それを解決する学問として「人工物工学」を提唱されました[1]

これを受け、東京大学では、1992年に全学の組織として人工物工学研究センターを創立し、第一期(1992-2002)は研究アジェンダの設定、第二期(2002-2013)は創出の行為の研究、第三期(2013-2019)は人・社会・人工物相互作用における価値創出として、人工物工学の研究を行ってきました。2005年には、駒場Ⅱキャンパスから柏キャンパスに移転し、第二期、第三期の研究活動は主に柏キャンパスで行われてきました。これらの研究は、いわば人工物工学の基盤構築と言えます。

この度発足した人工物工学研究センター(新)は、旧センターと同じ名称を引き継ぐことになりましたが、旧センターで構築してきた人工物工学の基盤を発展させ、人類の持続可能性に資する次世代ものづくり(製品のみならず、そのライフサイクルを通したサービスも含む)に関する研究教育と社会実装を推進する、工学系研究科の附属施設として本郷キャンパスに設置された新たなセンターです。

近年ICTによる情報化・ネットワーク化、そしてグローバル化によって国際的な競争が激化するなか、日本の産業競争力や学術的競争力は低下しつつあります。SDGsやSociety5。0といった目標が掲げられ、ものづくりにおいてもIndustrie 4。0やConnected Industryなどの取り組みが進められています。しかしながら、これらをいかに実現し、国際的な競争力を強化するかという道筋は必ずしも明らかではなく、また個々の研究者や組織単独の努力だけで実現できる問題ではありません。

新しい人工物工学研究センターでは、東京大学工学系研究科の研究者が中心となりつつ、他分野の研究者と協力し、技術のみならず価値や受容性など、広く人や社会と技術の関係まで考慮し、学際的な取り組みによって問題解決の手段を模索するとともに、ニーズ駆動型の次世代ものづくりの研究教育を行います。また、産学連携によって人工物工学の社会実装を推進し、競争力強化のための協調領域構築に一翼を担いたいと考えております。また、官との連携によって次世代ものづくりの政策についても議論したいと考えております。

以上を推進するため、センター内に価値創成部門、認知機構部門、実践知能部門の3つの部門を設置しました。価値創成部門においては新しいモノづくり及びモノ・サービスエコシステムの設計、認知機構部門においては人と人工物の認知過程及び人に資する人工物作り、実践知能部門においては人工知能をはじめとする知能化技術の理論と実践の融合に関する教育研究を行います。

人工物工学研究センター(新)が目指す要点は以下の通りです。

  1. 産学官協創による社会実装
    人工物工学を現場に適用のみならず、現場の課題に基づく問題解決、価値創造に産学連携によって、人工物工学の社会実装を推進します。
  2. 人工物工学教育・人材育成
    上記の活動をもとに、これからの次世代ものづくりに取り組む人材の教育カリキュラム・プログラムを設計・実施し、次世代ものづくりの人材育成を図ります。
  3. 人工物工学の基礎研究
    次世代ものづくりを推進するうえで重要となる、人工知能、ロボティクス、システム論、次世代製造技術などの基礎研究にも積極的に取り組みます。

人工物研究センターは開かれたセンターです。学内の様々な部局・教員との連携はもちろんのこと、学外の多くの企業の方や研究機関の研究者と共同で、様々な研究会なども随時立ち上げながら、共同研究プロジェクトや社会連携講座、寄付講座などを構築し、人工物工学の研究教育、社会実装を推進したいと考えております。人工物工学研究センターの活動に、是非、ご参加・ご協力・ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

[1] 吉川弘之:人工物工学の提唱,イリューム,1992年4月.

淺間 一 東京大学人工物工学研究センター センター長
               
Back to Top